「住民とともに安心の福岡市をつくる会」(あんしん福岡)
片山すみこの2つの政治姿勢
「とりもどす=本来の地方自治と、公共の力が発揮される福岡市政へ」
地方自治体の本来の使命は「住民福祉の増進」(地方自治法第1条の2)です。しかし「儲かる市政」を掲げる高島市政のもとで、公共施設の指定管理や公園のPFI事業(公共事業の民間委託:効率と採算を最重視)への移行が増えました。市立幼稚園の廃止、司書・スクールカウンセラーなどの専門職(とくに女性が多い)で非正規化が進展するなど、公(おおやけ)の役割がどんどん縮小され、民間企業への委託が拡大し、市民サービスは削られてきました。いまこそ、このような新自由主義的な自己責任の押し付け市政を転換する必要があります。
都心部の「成長」ばかりに力を入れる市政から、市内全ての地域に光を当てる市政へ。住民にかかわる職員の削減や全職員の4割を占める非正規化を減らし、誰もが等しく充実した市民サービスを受けられる市政へ。全ての住民のために公共の力が発揮される市政を実現するために、力をつくします。
自治体と国は対等です。政府の政策に対しても発言していきます。日本国憲法を大切にし、平和やジェンダーなどの人権、多様性を大切にして差別をなくす市政に転換します。
「つくりだす=対話し課題を共有し、ともに考え、実行する福岡市政へ」
高島市長は著名人や実業家などとの対談企画は旺盛に行う一方、さまざまな住民団体や要求団体との直接の対話は拒否してきました。都心のまちづくりをはじめとした様々な施策についても、大企業などの意向は聞いても、住民の声はほとんど聞かず、「トップダウン」で強引に進めてきました。しかし、福岡市をどんな街・地域にするのか? それは、市長だけが決めるものではありません。
多くの住民との対話の機会をつくります。市役所内では、「ハラスメント構造」をなくし、職員が声をあげ力を発揮しやすい風通しの良い職場にします。多くの住民の声を反映させてこそ、本当に住民が主人公の市政だと言えます。対話し、課題を共有して共に考え、市政に反映させていく、そんな当たり前の「対話の市政」を実現するために、全力をあげます。
「高島市政 4期16年(2010年~2026年)の振りかえり」
◆「街の景色を変えた」?
高島宗一郎氏の新刊本の表紙には、「街の景色を変えた」とあります。たしかに、天神や博多駅周辺は、新たなビルが林立し、かつての街の風景は変わってしまいました。
高島市長が行った「天神ビックバン」や「博多コネクティッド」などの街づくりは、第2次安倍政権が進めようとした「アベノミクス」の福岡版です。新自由主義的経済(様々な規制をなくし、資本が自由に市場で活動できるようにする経済システム)のもと、国家戦略特区の適用をうけて規制緩和を進める、赤字国債の発行と超低金利政策によって溢れた大量の資金を大企業が投入する、開発行政のもとで都心部の再開発を行う、こうして「スクラップ・アンド・ビルド」が進み、新たなビルが林立し、都心部の風景が一変しました。「元気な福岡市」と称されます。首都圏の繁華街にそっくりな街(?新宿や渋谷はこういった街ではになりつつあります。それを歓迎している人もいるでしょう。一方で、福岡・博多らしさが失われつつあることを嘆く人もいます。
◆開発行政中心の「ひずみ」が表面化
外国からの観光客が増えました。経済活動が活発になりました。しかし、中小の老舗店舗はオフィス価格が上がり、撤退を余儀なくされました。大量のオフィス供給は、需要と供給のバランスを崩し、天神エリアのオフィス空き室率は、目安とされる5%前後を超えて、2026年8月時点で8.94%と高い水準にあります。
地価も急騰しました。天神の平均公示地価(坪単価)は2010年約711万円、2026年約2484万円と、高島市政16年間で約3.5倍に上がりました。それは福岡の住宅地にもおよび、マンション価格・戸建て価格が上昇し、賃貸の家賃上昇にまで波及しました。とくに、コロナ禍後の円安・物価高をうけての上昇は著しいです。
こうした恩恵は、大企業や富裕層には及びました。例えば、福岡市内に本社がある資本金10億円以上の大企業の内部留保金は、増えているところが多いです(図1)。「アベノミクス」では、大企業や富裕層が豊かになることで、その恩恵が中小企業や低所得層に少しずつ行き渡る「トリクルダウン」が起きると言われました。しかし、「トリクルダウン」は起きませんでした。「住まいは人権」に反するような賃貸の家賃急上昇もそうですし、一人あたりの市民(国民)所得が、日本全体に比べて福岡市はほぼ横ばいと伸びていない(図2)のもそうです。天神・博多駅から離れた市街地は整備が遅れています。
福岡市の予算も、開発行政中心です。子ども・教育関連、社会保障などの予算は後回しとされました。
◆自治体の主権者は住民である―「成長の果実は住民に」
高島市長が行った新自由主義経済政策のもとでは、「儲かる市政」がめざされ、大企業や富裕層が潤いました。しかし、自治体は企業ではありません。自治体は、企業ができないことを住民のために行うべき存在です。上下水道の整備、道路の保全、公園・公共施設の保有・管理、避難所設置など、企業・個人がしないこと・できないことを、「公(おおやけ)」の名前のもとに行っています。多くの「公共物(コモン)」を所有しているのも、そのためです。
高島市政では、その「公(おおやけ)」が縮小されました。それは市政を大きく変質させるものでした。
自治体の主権者は住民です。自治体は、住民のために、住民が負担する税収などで運営を行い、「住民福祉の増進」を使命の第一としています。高島市政は、はたしてその期待に添うものだったのか、疑問です。「成長の果実は住民に」、市税収で増えた財源は、子ども・教育関連、社会保障などの予算にまわしていきましょう。
◆「公(おおやけ)」「公共物(コモン)」が縮小した3つの事例
1.職員削減、職員の非正規・低賃金が進展しました。
○人口10万人あたりの市職員の数が、他の政令都市に比べて少ないです(図3)。
○その市職員の非正規化が進んでいますし、低賃金におさえられています。
※「会計年度任用職員」(2020年度に制度がスタート)
2020年度 正規職員8756人、会計年度任用職員3122人(26.3%)
2024年度 正規職員8947人、会計年度任用職員3575人(28.5%)
会計年度任用職員の29.3%が年収300万円未満
2.市所有の公園・公共施設を民間企業に管理・運営する事業が増加しています。
○すべての都市公園(約1700公園)を対象に、Park-PFI事業化が進展しています。
例)清流公園、明治公園、西公園、今泉公園、音羽公園
○市民センター・アミカスなど、公共施設の指定管理制度が進展しています。
(問題点)
※公園内に建物が建つなどして、公園らしさが失われています。
※公共施設の管理運営を市職員が担う能力を失い、形だけ管理しています。
3.市が担うべき職務を町内会に依頼し、住民に負担を担わせています。
○市からの依頼事項(協力要請・情報提供、募集・協議など)
2023年度221件→2024年度237件
○防災・避難問題でも、町内会に依存するものが多いです。
○政令指定都市の中では高い加入率を維持していますが、未加入者も増えています。
町内会加入率 2014年89.1%→2018年85.7%→2022年88.6%
※北九州市の町内会加入率は約6割
(図1)福岡市内に本社がある資本金10億円以上の大企業の内部留保
2010年度と2025年度を対比
九電(福島原発事故の影響で微減)
福銀、西日本シティ銀行、西鉄、九電工の5社分
(図2)一人あたりの市民(国民)所得
2011年度と2022年度を対比 日本全体と福岡市
(図3)20政令指定都市における人口10万人あたりの一般行政職員数
出典「大都市比較統計年表」(2018年)
片山すみこの9つの政策 「住民とともに“あんしん福岡”へ」
(できるものから順番にやっていきます)
1.「暮らしやすい=大企業中心ではない、地域循環型経済へ」
2.「住みやすい=家賃補助や市営住宅の充実を」
3.「動きやすい=移動に困らない地域の生活交通の充実を」
4.「災害に強い=都市構造を見直しグリーンシティー福岡へ」
5.「子どもが生きやすい=子どもの権利を尊重した社会・教育に」
6.「ジェンダー平等に本気で取り組む」
7.「人権を守る=差別をなくし、多様性を尊重する共生社会をつくる」
8.「平和を守る=「戦争する国づくり」に反対し都市外交を展開しよう」
9.「最後に~自治体のあり方と対話の市政へ」
1.「暮らしやすい=大企業中心ではない、地域循環型経済へ」
物価高騰で住民の暮らしも地域の中小業者の経営も大変です。しかし、いまの福岡市は「過去最高の税収」と言いながら、物価高騰対策をまともに取り組もうとしません。また、大企業応援やスタートアップ(起業)などには力を入れていますが、地域でがんばる中小業者への支援は不十分です。
税金の使い方を変えることで、住民の暮らしを土台から支え、教育・保育・福祉・介護などを充実します。公契約条例の制定や賃上げ直接支援などで働く人の賃金アップを後押しし、経営が苦しい市内中小業者を支援します。地域でお金がまわる「地域循環型経済」を実現し、誰もが安心して「暮らしやすい」福岡市をつくります。
(注)「地域循環型経済」
地域でより多くのお金がまわる仕組みです。
例えば、公共事業を首都圏に本社がある大企業に任せると、事業費の大部分は本社のある首都圏に持ち出され、地元下請け業者(中小業者)の利益はわずかですが、公共事業を福岡に本社がある中小業者が引き受けると福岡で使われるお金は増えることになります。
他にも、再生可能エネルギーや農作物も、市外から購入するのではなく市内の業者から購入する、自分たちで生産することになれば、手元に残る利益は大きくなります。地産地消とも言われる仕組みです。
また福岡市に住む住民の給与が上がることは、福岡市内で使われるお金が増えることになります。労働者の待遇改善は、地域でまわるお金を増やすことにもなるのです。
(大企業優遇から市内中小業者優遇へ、働く者の賃金を上げる)
○大企業への法人市民税の更なる超過税率適用
○公共事業に市内中小業者が参入しやすい仕組み作り
○公契約条例(自治体が発注する公共工事・業務委託で労働者の賃金条件などを定めたも の)の制定
○最低賃金の抜本的な引き上げのために、社会保険料の使用者負担軽減など支援策を国・県に求める
(職員の雇用に関して ケア労働の評価など)
○司書(図書館・学校)、教職員、スクールカウンセラー、スクールソーシャルワーカーなど専門職を評価し、その待遇改善・正規雇用へ
○正規職員削減の見直し
○会計年度任用職員の待遇改善と期限なき雇用へ
○保育士・介護士の待遇改善
(市民生活への直接支援)
○高すぎる国民保険料引き下げ
○介護保険料引き下げ
○生活保護基準の切下げストップ、下水道使用料減免や各種見舞金復活
○一人親家庭の支援の強化
○上下水道料金の減免
○家庭用ごみ袋代の値下げ
(高齢者・障がい者への支援)
○高齢者乗車券・福祉乗車券の拡充
○介護保険の自己負担・後期高齢者医療の引下げ
○市営住宅などへの優先的な入居
○加齢性難聴者の補聴器購入補助
○様々な公共の場・施設・歩道などのバリアフリー化
2.「住みやすい=家賃補助や市営住宅の充実を」
高島市政では、経済特区の指定で建設規制を緩和し、これまで130億円をこえる巨額の税金が投入された「天神ビッグバン」をはじめとした開発行政が進められました。その結果、2026年まで14年連続して地価が上昇し、そのもとで戸建て・マンション販売価格が上がり、とくに賃貸住宅家賃の急上昇が起こっています(図4)。給料・年金がほとんど上がっていないなか、高すぎる家賃の支払いに苦労し「住み続けられない」という悲鳴が、若者・高齢者をはじめ多くの住民から上がっています。「住民の福祉」を充実させるために、若い世代や高齢者世代、シングル子育て世帯などを対象にした家賃補助制度を創設し、また、少なすぎる市営住宅(2010年度3万1766戸→2025年度3万1111戸と減っています)を、民間住宅借り上げも含めて管理戸数を大幅に増やし、安心して「住みやすい」福岡市を実現します。
開発行政の一環として、都心の公園などが民間企業に管理・運営が委託されています(Park-PFI事業)。民間企業にとっては、都心の「一等地」を容易に獲得できるものです。住民にとっては、「公共」であった公園、住民が集まって憩う場・空間だったものが失われることを意味します。こうした民間企業が管理・運営し、住民の使用が制限されたり、利用料が課されたりするなどには反対します。建物が建ち公園の樹木も減ります。私たちの「公共物(コモン)」を取り戻しましょう。
(図4)シングル向け賃貸物件の平均賃料 5年前との同規模政令市比較
(大型開発行政中心からの脱却)
○都心部再開発(天神ビッグバン、博多コネクティッド)の検証・転換
○箱崎九大跡地利用は防災公園など住民の願いが実現する方向へ
○マンション建設などの開発規制、成長管理政策への転換
○IR(統合型リゾート)・カジノ誘致に反対
(公園や公共施設の民営化をなくす)
○Park-PFI事業(民間資金を利用し民間企業に管理・運営を委託する)の見直し
○市民センター・アミカスなど公共施設の指定管理者制度(「公の施設」の管理運営を
民間企業やNPO法人などに代行してもらう仕組み)の見直し
(「住みやすい」を追求)
○家賃補助制度の拡充
・生活困窮者自立支援のための「住居確保給付金」
・若者困窮者・ひとり親世帯向けの家賃減額事業
○市営住宅の戸数を増やす
○住宅リフォーム助成制度の拡充
※断熱化・省エネについては別項目「4」で触れます。
3.「動きやすい=移動に困らない地域の生活交通の充実を」
西鉄バスの営業延走行キロ数の変化をみてください。高島市政が誕生した2010年は4886万7322キロありました。それが、2024年には3404万9308キロと、3割減少しています。西鉄バスの減便・路線廃止などで、移動に困っている市民が市内周縁部でとくに増えています。ところがいまの福岡市は、西鉄に対してバス増便を強く求めることはせず、市が推進しているオンデマンド(予約制)交通についても採算性のクリアという「住民の努力」ばかりを求めるものとなっており、路線数も便数も不十分です。一方で、観光客向けの拠点間を結ぶ大規模交通の計画には熱心であり、住民は軽視されています。福岡市には交通局があります。「住民の福祉」を充実させるために、地下鉄だけでなく、直営の公共バスも増やすべきです。バスが減便された地域に公共コミュニティバスを市の責任で走らせるなど、住民が安心して「動きやすい」福岡市をめざします。
○交通機関の「空白地」「不便地」に対する足の確保として、市の交通局にコミュニティバス部門を設置し、公共コミュニティバスを走らせる
○郊外での歩道の整備
○自転車レーン(自転車道・自転車専用通行帯)の拡充
○JR筑肥線と市営地下鉄の乗継割引の拡大
○高齢者乗車券・福祉乗車券の拡充(⇐1でも記述)
○九大伊都キャンパスへの交通の便を改善し安価な移動を可能とする
4.「災害に強い=都市構造を見直しグリーンシティー福岡へ」
世界各地の高地の氷河が溶けて崩落、日本国内でも酷暑が続きゲリラ豪雨・内水氾濫が頻発するなど、気候危機は深刻化しています。都市の再開発で、延べ床面積が拡大し、人流・物流も拡大して、エネルギー消費や温室効果ガス(CO2など)排出量が増加しています。地球温暖化によって気候危機が引き起こされ、住民の命を危機にさらしています。温暖化対策に本格的に取り組むとともに、都市構造を見直し、豪雨・地震などを含めた災害に強い街づくりが早急に求められています。
福岡市は、2030年度までに温室効果ガス排出量を2013年度比で50%削減する目標を掲げています。しかも排出量の多くを占める民間事業所の自主的な努力をあてにしており、市として目標をやりきる具体的な取り組みは全くなく、真剣に対策しているとは言いがたい状況です。
温暖化対策の見直しを徹底します。再エネ・省エネ中心の社会への転換を求めます。
自然災害が深刻化する中で、新自由主義的施策のもとで「自助」や「共助」が避難でも強調されますが、それには限界があることは明らかです。今こそ「公助」を第一にした災害対策が必要です。最大震度7が予想される警固断層帯の地震対策にも取り組みます。
福岡市は、これまで発災後3日間を念頭に公的備蓄を確保してきました。ところが、福岡県の新たな地震被害想定によって避難者数が大幅に増えた(最大23.2万人)結果、食料・水の備蓄はわずか1日分の備えになりました。携帯・簡易トイレ数は、最大避難者に対して0.42日相当という心もとない状態です。熊本地震で注目された市立学校体育館の空調設置も、2027年度末完了をめざして工事が行われていますが、今年度末は約6割にとどまります。天災はいつ何時起きるか分かりません。対策が急がれます。
(温暖化対策と都市構造の見直し)
○市の再エネ・省エネの目標決め、実効ある具体策を作成する
○「気候市民会議」を設置し、議論と実践の場に住民の参加を促す
○都市の街路樹を増やし、都市公園を森に
○歩道への木陰インフラの整備
○都心部への車両乗り入れ規制と公共交通の整備
○都心部のオープンスペースの拡大と歩行者中心へ
○都心部の空きオフィスに図書館・博物館・劇場など公共の文化芸術施設を設置、図書館では書籍などの寄贈・遺贈をうける
○郊外の拠点となる商店街の再生を、住民とともに進める
○市内各所の公共施設の断熱化・省エネを推進し、太陽光発電パネル・蓄電池を設置して電力の自給をめざす
○地産地消をめざし、農家の有機栽培を奨励し、学校給食などの食材に活用する
○地域で電気・食料が一定自給できる「地域循環型経済」をめざす
(避難所の充実)
○地震規模や避難者数の想定見直し、公的備蓄の抜本拡充など防災対策の強化を
○移動式トイレ・キッチンカー・簡易ベッド(TKB)の備蓄と早期提供の体制づくり
○食料・水、毛布・衛生用品など物資の装備
○水道配水管や下水道管などの耐震化を早急に推進
○避難所とする学校・公民館など公共施設へのエアコン設置(学校体育館・給食室など)
(住宅、その他)
○市営住宅の断熱化・耐震化の推進
○戸建て・マンションの断熱化や耐震補強の助成充実
○戸建て・マンションの太陽光発電パネル設置やベランダ発電を支援する
○ゼロアスベストの街づくりの推進
○低所得世帯への夏の電気代補助など、熱中症対策の強化
○原発の再稼働に反対(玄海原発から近い、放射性廃棄物問題、最終処分場施設の受け入れ問題など)
5.「子どもが生きやすい=子どもの権利を尊重した社会・教育に」
少子高齢化が進展するもとで、子どもの数は少なくなっていますが、子どもたちは、大切な将来社会の担い手です。子どもの基本的人権を尊重する「子どもの権利条約」(4原則遵守 「差別のないこと」「子どもにとって最もよいこと」「命を守られ成長できること」「意見を表明し参加できること」)を福岡市の条例として制定することは必須であり、福岡市の子ども対策の基本姿勢となります。
日本国憲法26条には「義務教育は、これを無償とする」とあります。しかし、教材費・修学旅行費・中学制服代など、「隠れ教育費」が保護者に重い負担を押しつけています。しかし、子どもをめぐる状況は厳しいものがあり、例えば子どもの貧困率は、福岡県の場合は19%(約5人に1人)で、全国平均の11%(約9人に1人)よりも高くなっています。なかでも一人親家庭、とくに母子家庭での生活苦は深刻です。「教育の無償」をめざします。さらに、子ども立ちが文化芸術などに触れる機会を予算面から支えます。
福岡市は、都市郊外でのマンション開発などに規制をかけていません。その結果、東区・西区などで、児童・生徒数が急増し教室が足りない、プレハブ教室建設で運動場が狭くなるなどの「過大規模校(31クラス以上ある小中学校)」が急増しています(高島市政の始まった2010年は小学校7校・中学校0校→2026年現在は小学校29校・中学校6校)。小中学校における「いじめ」の認知件数も2017年722件→2024年4381件(約6倍)へ、不登校児童生徒数も2017年801名→2024年5770名(約7倍)と、数年間で急増しています。学校・教員がゆとりをもって対応できる体制づくりが急がれます。
高島市政のもとで子ども関連予算(子ども育成費・教育費)は増やされたと言いますが、学校現場の状況は以下のようになっています。予算の充実が必要です。
・学校施設の老朽化、アスベスト建材が残存
・学校エレベーター設置率が全国平均に比べて低い
・学校司書やスクールカウンセラー・スクールソーシャルワーカー・学校用務員が常駐ではなく、非正規雇用が多い
・正規・非正規の教員が不足
・特別支援学校の在籍者数増加に学校・クラス数が対応できていない など
・小中学校の学校給食について、小学校では自校方式で運営されていますが、調理が民間に委託されています。中学校ではセンター方式による配達で、民間に委託されています。
福岡市は、市内に14の大学があり「学生のまち」として知られています。しかし、卒業・就職時に福岡を離れる若者も多いという特徴があり、若者に選ばれる都市づくりも必要です。
(図5)2026年5月現在の過大規模校(行政区ごと 小中一覧)
(子どもの権利)
○子どもの権利に関する条例の制定
○子どもの権利相談・救済窓口の設置
○児童館を少なくとも7行政区ごとに設置(現状、中央区に1箇所のみ)
○中高生の居場所づくり・カウンセリングを増やす
(18歳以下の子どもの貧困率対策)
○保育所の配置基準の更なる見直し
○3歳児未満の保育費の完全無料化(現状は第2子から無料)と保育園副食費の完全無料化(現状は条件付き減免)
○18歳までの子ども医療費の完全無料化(現状は3歳以上の通院費1医療機関ごとに月額最大500円負担あり)
○就学援助の対象者の拡大と対象項目・金額の拡大
○修学旅行代や制服代なども含めた義務教育の完全無料化
○市独自の給付型奨学金の創設
(学校・教育行政)
○教育予算を抜本的に増やす
○特別支援学校を含めた大規模校問題の解消へ
○多様性・共生を尊重するインクルーシブ教育の推進
○学校図書館の充実、学校公演や芸術鑑賞教室の予算確保
○老朽化した学校施設の早急な改修
○教育予算を抜本的に増やし、小中学校で20人以下の学級めざす
○正規教員を抜本的に増やし、授業時間などを見直して過重負担を解消する
○学校司書やスクールカウンセラー・スクールソーシャルワーカー・学校用務員が各校1人は常駐できるように増員するとともに、正規雇用への転換をはかる
○いじめ防止対策、不登校児童生徒への対応を手厚くする
○小中学校ともに学校給食の充実をはかり、自校方式で自校で調理できる仕組みとする(避難所機能を充実させるためには必要)
○フリースクールに通う家庭への支援を
(大学生への支援)
○市独自の給付型奨学金の創設
○貸与型奨学金の返済支援の拡充
6.「ジェンダー平等に本気で取り組む」
日本の2026年のジェンダーギャップ指数の総合順位は、145カ国中117位であり(世界経済フォーラムが発表)、とくに政治・経済分野で遅れています。高島市政は4期16年も続いてきましたが、福岡市では変化があったのでしょうか?
市役所職員の半数弱は女性ですが、女性管理職(課長級以上)の比率は20%前後で推移しています(図6)。審議会等の女性委員の比率は40%になってはいますが、直近の熊本地震などで女性の視点が大切と認識されるようになった防災の司令塔である「福岡市防災会議」の構成は、49人中女性は数人だけと悲惨な状況です。市内公立学校における女性校長の割合も4分の1に達していません。地域の町内会長では女性は10%未満しかいません。また、市職員の4割は非正規職員(会計年度任用職員・嘱託など)で、司書・カウンセラーなどの専門職を含め非正規職員の8割を女性が占めるなど、福岡市自身が男女の賃金格差・不安定雇用を助長しています。
ジェンダー平等に率先して取り組みます。ジェンダー平等は、福岡市の政治・経済・教育・健康などの施策のあらゆる分野に関係します。その推進機関である「男女共同参画部」は、市役所内の中心的な場所に置いて、施策推進の陣頭指揮を執るべきです。有識者中心に構成される「男女共同参画審議会」、市長をトップとし関係部局・区長などで構成される庁内推進組織である「男女共同参画推進協議会」も形骸化させることなく機能するようにします。
出先機関であるアミカス(男女共同参画推進センター)は、市民団体とも協力しジェンダー平等事業を推進する大切な拠点施設です。現状の指定管理を見直し、本格機能させるように注力します。アミカスによる事業推進、市民団体による講演会・展示会・事業のサポート、諸問題(女性・子ども・高齢女性の貧困、DV・デートDV・ストーカー・売買春などの性犯罪や性暴力、差別的な雇用や低賃金、様々なハラスメントなど)を抱えた方たちをサポートするのが、事業推進の拠点施設であるアミカスの大きな役割です。
1990年代より「性と生殖に関する健康と権利(SRHR)」、つまり「自分のことは自分で決める、誰もが自分らしく生きる権利が保障されること」が主張されるようになってきました。その観点からみたとき、福岡県は性犯罪が多く、なかでも福岡市は突出している都市です。学校での包括的性教育への取り組みの推進は必須です。また、性犯罪を防止し望まない妊娠を防ぐためには、正しい「プレコンセプションケア」事業が必要です。「生理の貧困」対策としての生理用品の公的施設への設置も推進します。
出先機関を含む福岡市役所の職場全体のセクハラ・パワハラ・いじめなどのハラスメント根絶にも取り組みます。職員とも話し合いながら推進します。職場を風通しの良いものにすることで、職員が力を発揮できるようにします。
○ジェンダー平等施策に本気で取り組むために、市民局「男女共同参画部」が司令塔となり、市役所内のあらゆる部局を見渡して施策を立案・実施する、組織改変を行う
○男女の賃金格差解消をすすめる
○行政・企業・議会・学校・地域など、あらゆる意思決定における男女同数をめざす
○生理用品の公的施設や学校トイレへの常設すすめる
○包括的性教育を推進
○福岡市の現状の「プレコンセプション」の検証・見直し
○ハラスメント根絶、性的マイノリティー(LGBTQ+)への差別禁止のための条例を
(図6)福岡市の「男女共同参画に関するアンケート調査」より(2025年4月1日現在)
7.「人権を守る=差別をなくし、多様性を尊重する共生社会をつくる」
日本国憲法13条には「個人として尊重される」、14条には「法の下に平等であって、人種、信条、性別、社会的身分又は門地により、政治的、経済的又は社会的関係において、差別されない」とあります。福岡市には、こうした憲法の理念を実現していく責務があります。福岡市内には、子ども・若者、高齢者、女性、性的マイノリティー(LGBTQ+)、障がい者、外国人などの、様々な属性をもつ人々が住んでいます。日本に3ヶ月を超えて滞在する外国籍の方々も、自治体が管理する住民基本台帳住民に登録され、税や社会保険料の負担などを課された同じ「住民」です。
福岡市は、住民の多様性を尊重し、あらゆる差別をなくします。あらゆるヘイト発言・行為によって差別を煽ったり、憎悪を生み出したりすることは許されません。すべての住民がのびのびと活躍できる環境を整備します。こうした共生社会を充実させていくことは、活力ある福岡市にすることにつながります。共生社会をめざすにあたっては、積極的な交流を深めること、お互いの属性を尊重すること、お互いの理解や信頼関係を育むことが大切です。
○市民局内にある「人権部」が「人権を守る」「差別をなくす」などの司令塔となり、市役所内のあらゆる部局を見渡して施策を立案・実施する
○「市民会議」を設置し、「人権を守る」「差別をなくす」などの議論と実践の場に住民の参加を促す
○教育現場において、様々な属性・文化に対する理解を深め、差別・いじめなどをなくす
○学校・公共施設などでバリアフリーを推進
○罰則付きのヘイトスピーチ禁止条例の制定
○福岡市人口の4%弱を占めるようになった外国人への差別や排外主義を許さない施策を 立案・実施する
・多言語対応ができる外国人総合相談センターの設置
・日本語学習の環境づくり
・地域での多文化共生推進プランの策定
・災害時の対応 など
○「特別永住者」への地方参政権付与
「特別永住者」の資格をもつ在日コリアンの方々は、子ども時代から日本社会で暮らす「住民」です。戦前は、日本国籍を認められていましたが、日本の敗戦後に剥奪された歴史を持っています。世界では北欧諸国・韓国などで、外国籍住民に対する地方参政権が認められています。「特別永住者」に対する地方参政権について検討を始めます。
8.「平和を守る=「戦争する国づくり」に反対し都市外交を展開しよう」
高市自民・維新政権は、「力の支配」をふりかざすトランプ政権に追従して軍事費をさらに引き上げ、長距離ミサイルの大量配備や弾薬庫の増設などを進めています。これらの動きは「専守防衛」の立場を投げ捨て、国民を戦争に巻き込む危険をはらんでいます。福岡市でもこの間、福岡空港での日米共同演習などの軍事訓練や欠陥機であるオスプレイの飛来、博多港の特定利用港湾指定や基地周辺の重要土地利用規制法の注視区域指定などの動きが起こっていますが、これらは市民を戦争に巻き込む危険性を増大させるものです。また、昨年「台湾有事」を想定して沖縄県石垣市から避難住民2万7千人を市内の指定ホテルを全室空室にして受け入れるなどという荒唐無稽な計画が立てられていますが、これもまさに国の戦争準備に協力するものであり、許されません。市民の命や財産をおびやかすこれらの問題に対して、高島市長は国にまったくモノを言おうとしません。それどころか国がアメリカいいなりに進めている「戦争国家づくり」に積極的に加担していると言われても仕方のない態度を取り続けています。
○日本国憲法9条を守り、安保法制の廃止を
○重要土地利用規制法の「注視区域」や「特別注視区域」への指定の撤回
○博多港の特定利用港湾指定の撤回
○福岡空港内に残る米軍基地(板付基地)の早期返還を
○自衛隊への若者(18歳・22歳)の個人情報(名前・住所)提供の中止
○福岡市長名での「非核平和都市宣言」の実現
○戦争遺構の保存や戦争体験(福岡空襲、原爆被爆、大陸からの引揚げなど)伝承への取り組み
○常設の平和資料館の設置
○近隣諸国との文化交流
○対立ではなく平和と友好を求める取り組みを創意工夫して推進
9.「最後に~自治体のあり方と対話の市政へ」
自治体は「二元代表制」から成り立っています。国政の議院内閣制と異なり、福岡市長は住民の直接選挙で、福岡市議会の議員62人も住民の直接選挙で選ばれています。市長は住民の直接選挙で選ばれている分、国政と異なり一定の独自の施策も可能です。
(例)
・市長名による「非核平和都市宣言」発出
・自衛隊への名簿提供撤回の検討
・ジェンダー平等施策の見直し
このように、市長の指示で可能なものがあります。一方、多くは予算案が関係し、市議会・議員の厳しい監視・チェックを受けなければならないものがあります。市議会・議員とは、粘り強く意見交換をしながら、毎年政策の5%でも改変していくことができれば、任期4年間に変化は見えてきます。
福岡市の2026年一般会計の予算規模は1兆1318億円でした。自治体の歳入の中心は、住民からの税金です。高島市長は、都心中心に大型開発行政を展開し、地価が上昇し固定資産税・都市計画税が増えたことを誇っていますが、功罪両面があります。街の景観を大きく変えました。店舗・オフィス中心の街であり住民中心の街になっているのか? 福岡・博多らしさはどこへ行った? など疑問符がつくことが多々あります。さらに、天神とその近辺の公園は民間が管理運営するPFI事業へ移行され、住民が集まって憩える空間が失われています。住民にとっても、マンション・戸建ての販売価格が上がり購入が難しくなるだけでなく、賃貸家賃も急上昇し、生活が困窮している方が増えたことは「2の住みやすい」で触れました。
歳出は「住民福祉の増進」を第一に使います。では、いかに財源を生み出すのか?
・大企業への法人市民税の更なる超過税率適用の検討
・大型開発事業に投入される予定の資金の見直し
(天神ビッグバン、人口島事業、中央埠頭や須崎埠頭の埋め立て事業など)
・財政調整基金約300億円の一部活用
改革を行うためには、住民の皆さんの後押しが必要ですし、以下は必須です。
・情報公開の徹底
・政治の透明性の確保
・住民参加、対話集会などの仕組みの構築
市議会・議員との対話、職員・スタッフとの対話に加えて、主権者である住民の皆さんとの対話の機会を作ります。東京杉並区(58.5万人)の岸本さとこ区長は、1期目の4年間に住民との直接対話の機会を400回つくったそうです。大変な回数です。そこまで出来なくても、例えば2週に1回の割合で対話の機会をつくれば、4年間で計100回くらいになります。特定テーマを決めて、様々な属性の方に参加していただき、年齢別・性別だけでなく住んでいる地域などにも配慮するなど、色々と工夫して“対面で”行いたいと思います。人口167万人の福岡市でも、できることはあるはずです。
そうした議論を通じて、課題を共有し、ともに考え、実行する福岡市を作っていきたいと思います。
